善悪という怪物という本を読んで自分なりにまとめてみました〜。
この本を一言で言うと
善悪の枠を超えた視点を持とう!
です。
この本の3つのポイント
ポイント1: 善悪とは何か
善と悪は反対の考え方で、人の行動や考えに大きな影響を与える。
ポイント2: 善悪論に陥る理由と具体例
人が善悪論に陥るのは、物事を簡単に理解するためで、学校や宗教、社会のルールがその基準を作る。
ポイント3: 善悪の二元論を超える方法
善悪の二元論にとらわれず、柔軟な考えを持ち、他人の意見や背景を理解し、色々な考えを受け入れることが大切。
この本を読むのにたぶん合計で4〜5時間かかりました。以下のまとめはただ読むだけなら3分、理解して読んでも5分くらいかな〜。なので、どうぞ〜。
善悪とはなんなのか?
- 善悪は対立する二つの概念
- 争いや不信を生む根源
- 善悪の判断は主観的
- 人々の行動や価値観に大きな影響を与える
なぜ人は善悪論に陥るのか
物事を単純化して理解しやすくするため
→善悪の二元論は複雑な現実が分かりやすくなる
→判断を下す際の指針として機能する
具体例↓
1. 教育
学校での道徳教育では、善悪の基準が明確に教えられます。例えば、「嘘をついてはいけない」「他人を助けるのは善いこと」といった教えが子供たちに伝えられ、これに従うことが期待されます。
2. 宗教
多くの宗教では、善悪の基準が教義や聖典に明示されています。例えば、キリスト教では「十戒」に基づいて「盗むこと」「殺すこと」などが悪とされ、「隣人を愛すること」などが善とされます。
3. 社会的規範
社会的規範として、法律や文化的な慣習が善悪の基準を提供します。例えば、法律では「窃盗は犯罪であり悪いこと」「人を助ける行為は奨励される」といった基準が設けられています。また、文化的な慣習として、日本では「年長者を敬うこと」が善とされ、これに反する行為は悪とされることがあります。
善悪論に陥る心理トリックとは?
心理トリックは、錯覚や誤解を生み出す手法を指します。特に恐怖を利用した支配や錯覚に基づく行動は、人を操る手段として使われます。錯覚は、信じ込むことによって現実と同じように感じられることが多く、個人や集団の行動を支配します
3つの心理トリック、恐怖、権威、偏見の実例をちょっとだけ紹介しますね。
1. 恐怖による支配
冷戦時代、アメリカでは「赤狩り」として知られるマッカーシズムが広がりました。政治家のジョセフ・マッカーシーが「共産主義者が政府を侵略している」と主張し、多くの無実の人々がスパイとして疑われました。実際には、ほとんどの人が無実でしたが、恐怖に支配された社会は疑心暗鬼に陥りました。恐怖が人々を支配し、真実を見失わせた実例です。
2. 権威への服従
オウム真理教事件(1995年)では、教祖の麻原彰晃が信者にサリンを使ったテロ行為を命じました。彼の言葉を絶対的なものとして信じた信者たちは、地下鉄サリン事件を起こし、多くの人が被害を受けました。これは権威者の言葉に無条件に従うことで、心理的に支配される実例です。
3. 偏見と固定観念
セーラム魔女裁判(1692年)では、数多くの女性が「魔女」として告発されました。住民たちは魔女が悪いことを引き起こしていると信じ、次々と疑いをかけました。しかし、実際には魔女など存在せず、無実の人々が処刑されました。この話は、偏見や固定観念が人々の行動や考えに影響を与える実例です。
どうあるべきなのか?
- 善悪の二元論に囚われない
- 状況や個々の価値観を柔軟に思考する
- 絶対的な善悪を前提としない
- 自らの判断で行動する
- 他者の意見や背景を理解しようとする
善悪論に陥っていない人物の特徴
- 批判的思考を持つ:情報をそのまま信じず、自分で分析し判断する。
- 多様な視点を受け入れる:異なる価値観や意見を尊重し、理解しようとする。
- 柔軟な思考:固定観念に囚われず、状況に応じて適切に判断を変えられる。
- 感情のコントロールができる:感情に流されず、冷静に物事を考える。
日本の著名人で善悪論に陥っていない人物
1. 鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)
「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」など、複雑な人間関係や価値観を描いた作品を手掛けており、単純な善悪の枠に収まらないキャラクターやストーリーを作り出している。これにより、観客に多様な視点を提供し、善悪の二元論に囚われない考え方を促している。
もののけ姫
- エボシ御前
- 背景:タタラ場の指導者。工業化と鉄の生産を推進し、村人たちを守っている。女性や社会の弱者を救い、彼らに仕事を提供している。
- 行動:森を破壊して鉄を生産し、森の神々と戦う。特にシシ神を殺してその首を取ることで、さらに力を得ようとする。
- 共感要素:エボシは冷酷な侵略者として描かれる一方で、社会の弱者を保護し、女性たちに独立の機会を与えている。彼女の行動は人々の生活を向上させるためであり、一面的に悪とは言えない。
- モロ
- 背景:サン(人間の少女)を育てた狼神。森と自然を守るために戦っている。
- 行動:タタラ場を襲い、人間との戦いを繰り広げる。特にエボシ御前を殺そうとする。
- 共感要素:モロは自然の守護者として描かれ、環境破壊に立ち向かう存在。彼女の行動は森とその住人を守るためであり、自然保護の視点から理解できる。
- アシタカ
- 背景:呪いを受けた村の青年。呪いを解くために旅をしている。
- 行動:森と人間の対立を解決しようと努め、双方の調和を目指す。エボシ御前とモロの両方に対して理解を示し、戦いを止めようとする。
- 共感要素:アシタカは中立的な立場から物事を見つめ、善悪の二元論に囚われず、調和を追求する姿勢を持つ。彼の行動は双方の理解と平和を目指すものであり、視聴者に多様な視点を提供する。
千と千尋の神隠し
- 湯婆婆
- 背景:油屋(湯屋)の経営者であり、魔女。厳しい経営者として従業員に厳しく接する。
- 行動:千尋(千)に厳しい条件を課し、働かせる。契約によって彼女の名前を奪い、「千」と呼ばせる。
- 共感要素:湯婆婆は冷酷で支配的な一方、油屋を経営し、多くの従業員と客を抱える責任を負っている。彼女の行動は経営者としての責任感から来ており、一面的に悪とは言えない。
- カオナシ
- 背景:謎めいた存在で、初めは影のように静かに振る舞う。
- 行動:油屋で金を振りまき、他人の欲望を引き出し混乱を招く。しかし、千尋には執着せず、最後には彼女に助けられる。
- 共感要素:カオナシは孤独で他者との繋がりを求める存在。彼の行動は欲望と孤独の表れであり、悪意だけではない。最終的に千尋の助けによって変わり、彼の人間らしい側面が描かれる。
- 千尋(荻野千尋)
- 背景:10歳の少女。両親とともに異世界に迷い込む。
- 行動:湯婆婆の下で働きながら、両親を元に戻すために奮闘する。多くの困難を乗り越え、成長する。
- 共感要素:千尋は純粋で勇敢な少女として描かれ、善悪の対立を超えて多くのキャラクターと関わりを持つ。彼女の行動は他者との理解と協力を重視しており、多様な価値観に触れることで成長していく姿が共感を呼ぶ。
2. 宮崎駿(アニメーション監督)
作品内でのキャラクターに一貫して多様な動機や背景を持たせることで知られている。「風の谷のナウシカ」や「崖の上のポニョ」などでは、単純に「悪」とされるキャラクターにも共感できる要素があり、視聴者に深い洞察を促す。
風の谷のナウシカ
- クシャナ
- 背景:トルメキア帝国の王女であり、軍の指揮官。幼少期から厳しい軍事教育を受けてきた。
- 行動:風の谷を攻撃し、腐海の森を焼き払おうとする。目的はトルメキア帝国の領土拡大と腐海の脅威を取り除くこと。
- 共感要素:クシャナはただの侵略者ではなく、自国の安全と繁栄のために戦っている。また、部下からの信頼が厚く、指導者としてのカリスマ性を持つ。
- オーマ(王蟲)
- 背景:巨大な虫で、腐海の守護者。腐海を破壊しようとする人間を激しく攻撃する。
- 行動:腐海を守るために人間を攻撃し、風の谷を襲う。特に、幼虫が捕獲されたときに怒り狂い、集団で襲来する。
- 共感要素:オーマは自分たちの生息地を守るために戦っており、環境保護の象徴として描かれる。その行動は生態系のバランスを保つためであり、悪意ではない。
崖の上のポニョ
- フジモト
- 背景:ポニョの父であり、かつては人間だったが、現在は海の魔法使い。人間世界に対して強い不信感を抱いている。
- 行動:ポニョが人間になろうとするのを阻止しようとする。人間と海のバランスを保つために、ポニョを海に戻そうとする。
- 共感要素:フジモトは地球環境を守るために行動しており、人間が自然に与える影響を懸念している。彼の行動は自然保護の観点から見ると理解できる。
- グランマンマーレ
- 背景:ポニョの母であり、海の女神。海洋全体の調和を保つ存在。
- 行動:ポニョが人間になることを見守り、最終的にその決断を尊重する。フジモトの過剰な保護からポニョを解放し、彼女の意志を尊重する。
- 共感要素:グランマンマーレは寛容で理解ある存在であり、娘の自由意志を尊重する。また、海の生態系を守るために常に調和を保とうとする姿勢が共感を呼ぶ。
3. 池上彰(ジャーナリスト)
ニュース解説や著書で、物事を多角的に捉えることを重視している。彼の解説は常に複数の視点からの分析を含み、視聴者や読者に対して批判的思考を持つことを促している。
- 事実の提示
- 具体例:ニュースや出来事の基本的な事実をまず提示し、その後に関連する背景情報を詳述します。例えば、選挙結果を報道する際に、その背景となる政治状況や歴史的経緯を解説します。
- 異なる立場の意見紹介
- 具体例:特定の問題について異なる立場の専門家や関係者の意見を紹介します。例えば、経済政策について議論する際に、政府側の意見、反対政党の意見、経済学者の意見をバランスよく紹介します。
- 視聴者の質問への対応
- 具体例:視聴者からの質問に答えるセッションを設け、多様な疑問や関心に対して丁寧に回答します。これにより、視聴者の理解を深めるとともに、複数の視点から物事を見る重要性を強調します。
まとめると
- 多様な視点の提供:上記の人物は、複雑な人間関係や社会問題を多角的に描写し、単純な善悪の枠組みにとどまらない見解を示している。
- 批判的思考の奨励:作品や解説を通じて、視聴者や読者に対して自身の考えを深く掘り下げることを促し、安易な結論に飛びつかない姿勢を推奨している。
個人ができる具体的アクション
- 批判的思考を持つ: 善悪の判断を鵜呑みにせず、自らの考えで分析する。
- 多様な視点を持つ: 他者の立場や背景を理解し、柔軟な思考を持つ。
- 感情のコントロール: 恐怖や怒りに支配されず、冷静に状況を判断する。
- 対話を重視する: 誤解や対立を避けるため、積極的にコミュニケーションを取る
著者のアクション
著者の東郷潤さんの憎しみへの対処法を提案しています。これが独特な方法で。
下記は引用。空行は中略してます〜。
顔を認識したら、次にやることは凍(こお)り付いた感情の解放だ[ 86]。部屋で一人っきりになり、できるだけ口汚く相手を罵ろう。怒鳴りつけよう。
大事なコツが一つある。それは下品になることだ。
普段では決して口にしない汚い言葉を意識して呟(つぶや)き、心の深部を刺激する。これをしばらく続けていると、薄汚い感情がどっと噴き出すはずだ。その感情を一切抑えず、心の底から体験
身を切られるような、身もだえするような苦しみだろう
レイプ犯の首に両手をかけ全身の力を込めて、そのまま絞め○そう。
落ち着いたら、じっくりと相手の立場に立って、なぜその人があなたに、あんなひどいことをしたのかを想像する。
相手も自分も善悪で一切裁かず、ただ理解だけを求める。ああでもない、こうでもないと考え続けよう。するといつか相手の気持ちを理解できたと感じる瞬間が来る。
同じ立場だったら、私だって同じことをしていたかも」と実感することは出来る
悪魔から人へと変わる。憎しみは同情へと変わる。
理解するということは、全く簡単なことでは無い。悪魔イメージで錯覚するより何百倍も何千倍も難しい。そして心の中で相手を絞め殺すのも、一度では足りないかもしれない。何十回となく繰り返すことが必要かも
もう一度書く。大変な作業だが、やればやるだけ心が明るくなる。心の闇を払うことが出来る。
生涯を掛けてやるだけの価値があることと、筆者は個人的に感じている。
1. 感情の解放
方法:
- 一人の部屋で相手を口汚く罵り、心の深部から感情を解放する。
- 普段使わない汚い言葉を意識的に呟き、凍りついた感情を解放する。
心理的側面:
- カタルシス:感情を表現することで心理的な解放をもたらす。この手法はフロイトによるカタルシス理論に基づいており、抑圧された感情を表に出すことでストレスを軽減する効果がある。
- 表現の自由:下品な言葉を使うことで、普段の社会的な抑制から解放され、真の感情にアクセスしやすくなる。これにより、内面的な葛藤や怒りを外に出すことができる。
2. 相手の立場に立つ
方法:
- 感情の解放後、相手の立場に立って、なぜその人がひどいことをしたのかを想像する。
- 相手も自分も善悪で裁かず、ただ理解を求める。
心理的側面:
- 共感の育成:相手の立場に立つことで共感を育てる。共感は相手の感情や経験を理解し、認識する能力であり、対人関係の改善に寄与する。
- 認知の再構成:相手の行動の背後にある理由を理解することで、自分の認知を再構成し、よりバランスの取れた視点を持つようになる。これにより、相手の行動を単純な善悪ではなく、複雑な背景の一部として理解することができる。
3. 繰り返しのプロセス
方法:
- 相手を心の中で絞め殺すイメージを何度も繰り返す。
- 理解のプロセスを何度も行い、憎しみを同情に変える。
心理的側面:
- 暴露療法:嫌な出来事に繰り返し直面することで、それに対する感情的な反応を減少させる。これはPTSD治療などで用いられる技法で、恐怖や不安を減少させる効果がある。
- 一貫性の法則:何度も繰り返すことで、新しい認知のパターンを脳に定着させる。一度の取り組みでは不十分であり、繰り返し行うことで、心の中の憎しみが徐々に減少し、同情や理解へと変わっていく。
結論
東郷潤さんの提案する方法は、心理学的に裏付けられたカタルシス、共感の育成、認知の再構成、暴露療法などの技法を組み合わせたものであり、憎しみに対処する有効な手段と考えられます。この方法を通じて、憎しみを解放し、理解と同情に変えるプロセスは、心理的な健康と心の平和を取り戻す助けとなるでしょう。
さいごに
善悪の枠にとらわれないと、いろんな状況や人の気持ちを理解できて、いい人間関係になりますし、互いに新しい発見があって楽しい。もし、誰かと意見が違ったとき、「この人はこういう背景があるんだな」って考えてみるだけでいいかと。それだけで対話もスムーズになるし、共感も深まる気がします。善悪にとらわれず、リラックスして考えたいですよね〜